グロリオサは観賞用に栽培される有毒植物で、地下部をヤマイモと取り違える事故が起きています。家庭菜園や庭で採れたものでも、食用と確実に分からない植物は食べないでください。
原因と症状
観賞用の植物全体に毒がある
グロリオサ(別名:キツネユリ、ツルユリなど)は、美しい花を観賞するために育てられる植物です。コルヒチンという有毒成分を含み、特に地下部に多く含まれます。花や葉を含む植物全体を、食材として使わないでください。
地下部は一般に「球根」と呼ばれることがあり、ヤマイモとの取り違えが問題になります。植物の写真やAI判定だけで、食用かどうかを決めないでください。この記事の植物画像も説明用イメージです。
ヤマイモと間違える国内事故
厚生労働省は、庭で育てていたグロリオサをヤマイモと間違え、すりおろして食べた死亡事例を報告しています。2026年10月にも浜松市が、庭のグロリオサをヤマイモと思って調理し、2人が食中毒になった事例を公表しました。
葉や花がない時期に掘り上げた地下部を、食材と同じ場所へ置くことも取り違えにつながります。自宅の庭で採れたことや、見慣れた野菜に似ていることは、安全の根拠になりません。
数時間後から症状が出ることがある
口やのどの焼けるような痛み、発熱、嘔吐、下痢、背中の痛みなどが起こります。臓器の働きが悪くなり、命に関わる場合があります。
食べてから数時間以降に症状が現れることがあり、直後に具合が悪くならなくても安心はできません。症状や発症時刻だけで判断せず、誤食が疑われた時点で相談してください。
調理での予防
不明な地下部を台所へ持ち込まない
掘り上げたものの種類が確実でなければ、食材にしません。食用と確認できない植物は、採らない・食べない・売らない・人にあげないことが基本です。家族が採ったものや譲り受けたものも、確認できなければ使いません。
すりおろしや味見で安全を確かめない
粘りがあるか、においが似ているか、といった一つの特徴だけで食用と判断しません。見分けるために刻む・すりおろす・味見をするのではなく、食用と確認できないものは調理しないでください。
ゆでる、焼く、水にさらすなど、家庭の調理で食べられるようにできると考えないでください。混入に気づいた料理は食べるのをやめ、グロリオサだけを取り除いて残りを食べることも避けます。
日常の予防
食用の植物と一緒に植えない
ヤマイモなどを育てる家庭菜園に、グロリオサを混植しないでください。栽培場所を分け、家族にも観賞用で有毒な植物であることを伝えます。
掘り上げた地下部に名前と注意を付ける
園芸用に掘り上げて保存する場合は、名前と「有毒・食べない」などの表示を付け、野菜や食品とは別に管理します。台所や食品の保管場所、子どもなどが誤って口にしやすい場所へ置かないでください。
譲ったものが食材と間違われるおそれがあると分かった場合は、食べないよう相手へ知らせます。購入品に不明な植物が混じっていた場合は使用をやめ、販売店や保健所へ相談してください。
嘔吐物の片付け
誤食が疑われるときは、片付けより医療機関への連絡・救急対応を優先してください。本人だけにせず、残った植物や料理をほかの人が食べないよう分けます。
原因がまだ分からない嘔吐にも備え、周りの人が使い捨て手袋・マスク・エプロンなどで防護し、ペーパー類で静かに拭き取ります。使った物は袋に入れ、片付け後は石けんと流水で手を洗います。
感染症を想定した詳しい消毒方法は、ノロウイルスの「嘔吐物の片付け」も確認してください。物の消毒剤を食品の無毒化や体の解毒に使ってはいけません。
片付け用品をまとめて備える
受診の目安
誤食の疑いがあれば症状を待たず相談する
グロリオサを食べた可能性がある場合は、少量だから、まだ症状がないからと様子を見続けず、速やかに医療機関へ連絡してください。口やのどの痛み、嘔吐、下痢などがある場合も、疑わしい植物を食べたことを必ず伝えます。
無理に吐かせず、自己流の手当てをしない
家庭で無理に吐かせることは勧められていません。吐いた物が気管に入るおそれがあります。自己判断で薬や「解毒のため」の飲み物を使わず、飲食を含む手当ては医療機関などの指示を受けてください。意識や飲み込みに異常がある人に、飲食物を与えないでください。
植物と食べた状況を伝える
- 食べた時刻・量・調理方法、症状と発症時刻。
- 採った場所や購入先、同じ料理を食べた人の状況。
残った植物・料理、写真、包装、レシートは原因確認の手がかりになります。再び食べないよう分け、保管や提出は医療機関・保健所へ確認してください。資料を集めるために救急対応を遅らせないでください。

