スイセンは、ニラなどと取り違えて食中毒を起こす有毒植物です。葉も球根も食べられず、加熱しても安全にはできません。食用か不確かな植物は、採らず、食べず、人にあげないでください。
食べた疑いがあれば、速やかに医療機関へ相談を嘔吐などの症状があれば受診してください。意識の異常・けいれん・息苦しさがあれば119番です。
原因と症状
葉も球根も有毒
ニホンスイセンやラッパスイセンなどのスイセン類には、リコリン・タゼチンなどのアルカロイド(植物などに含まれる成分の一群)が含まれます。植物全体が有毒で、特に球根に毒成分が多く含まれます。
葉をニラやノビルなどと、球根をタマネギなどと取り違えることがあります。花が咲いていない時期は、葉だけで食用植物と思い込みやすくなります。自宅の庭や畑だけでなく、採集したものを譲り受けた場合や、誤って販売されたものでも事故が起きています。
主な症状と発症までの時間
吐き気・嘔吐・下痢・頭痛のほか、唾液が増える、汗が多く出るなどの症状がみられます。重い場合には意識の異常や体温低下などが起こることもあります。
食後30分以内など、短時間で発症することがあります。ただし、食べた量や個人差で変わるため、30分たって無症状なら安全、とは判断しないでください。
国内では、葉をニラと思って卵料理に入れた事例や、球根をタマネギと思ってみそ汁に入れた事例が報告されています。子どもや高齢者などでは、繰り返す嘔吐による脱水にも注意が必要です。
調理での予防
食用と確実に分からないものは使わない
- 見慣れない葉や球根、食用として植えた覚えのない植物は使わない。
- 採集時だけでなく、刻む前にも一本ずつ混入がないか確認する。
- もらった植物でも、食用か不確かな場合は食べない。
ニラには特有のにおいがありますが、スイセンがニラに混じっていると、においでの区別が難しくなります。束のにおい、見た目、写真や画像判定だけを根拠に、安全と決めないでください。安全確認のための味見もしないでください。
洗う・ゆでる・炒めることで安全にしようとしない
スイセンは加熱しても毒性が残ります。洗う、ゆでる、炒めるといった家庭の処理で食用にできる植物ではありません。葉だけ、球根だけなら食べられる、ということもありません。
調理後にスイセンの混入に気づいた場合は、その料理を食べるのをやめ、ほかの人にも出さないでください。見えている葉だけを取り出して食べ続けないでください。
日常の予防
野菜と離して育て、球根は食品と分けて保管する
スイセンなどの観賞用植物は、ニラやネギなどの食用植物と一緒に育てず、離れた場所に明確に区分して植えます。名前を書いた札も付け、家族や収穫する人と場所を共有してください。
植え付け用の球根は、タマネギなどの食品や調理材料と分けて保管します。子どもなどが食べ物と思って口にしないよう管理してください。
不確かな植物を配らない・売らない
食用と確実に判断できない植物は、採らず、食べず、売らず、人にあげないでください。学校や施設へ持ち込む場合も、採った人が食用と思っていることだけで判断しません。
購入品でも、異なる葉や不審な植物の混入に気づいたら使わず、販売店や保健所に相談してください。この記事の画像は説明用のイメージで、植物の判別には使わないでください。
嘔吐物の片付け
スイセンの食中毒は、植物の毒を食べることで起こります。ただし、嘔吐の原因がまだ分からないときは感染症の可能性も考え、素手で触らないようにします。具合の悪い人の受診を優先してください。
- 周囲の人を離し、使い捨て手袋・マスク・エプロンなどで防護する。
- 飛び散らせないようペーパー類で静かに拭き取り、使った物は袋に入れる。
- 片付け後は石けんと流水で手を洗う。
感染症を想定した詳しい消毒方法は、ノロウイルスの記事も確認してください。消毒剤を食品の無毒化や体の解毒に使わないでください。
片付け用品を備える
受診の目安
- 呼びかけへの反応がおかしい、意識を失った。
- けいれんしている、息苦しい、呼吸がおかしい。
救急車を呼んだら、スイセンを食べた疑いがあることを伝え、指示に従ってください。
食べた疑いがあれば相談し、症状があれば受診する
スイセンを食べた可能性に気づいたら食事をやめ、症状の有無も含めて速やかに医療機関へ相談してください。吐き気・嘔吐・下痢などが出た場合は受診し、庭や畑で採った植物を食べたことを必ず伝えます。
繰り返し吐いて水分が取れない、強い腹痛がある、ぐったりしている場合も早急な受診が必要です。自分で無理に吐かせたり、自己判断の薬で様子を見続けたりしないでください。意識や飲み込みに異常がある人には飲食物を与えないでください。
残った植物と食べた状況を伝える
- 食べた時刻・量・調理方法と、症状が出た時刻。
- 採った場所や購入先、譲り受けた経緯。
- 一緒に食べた人と、その人の症状。
残った植物や料理、包装・レシート・写真は原因確認の手がかりになります。再び食べないよう分け、可能なら受診時に持参します。保管・提出・処分の方法は医療機関や保健所に確認し、集めるために受診を遅らせないでください。

