おにぎりはラップで握り、お弁当は冷たく保つ。黄色ブドウ球菌を食品につけず、増やさないことが大切です。すでにできた毒素は、通常の温め直しでは取り除けません。
原因と症状
この菌は、人の皮膚、鼻や口の中、傷口など、身近なところにいます。おにぎり、いなりずし、巻きずし、調理パンなど、加熱した後に手で扱う食品も原因になります。肉・卵・乳の加工品や菓子類なども対象で、米料理だけの問題ではありません。
食品中で増えた菌がつくるエンテロトキシン(おう吐などを起こす毒素)を、食品と一緒に食べることで起こります。菌そのものを食べて感染する食中毒とは、仕組みが異なります。
主な症状
発症までの目安は30分〜6時間、平均約3時間(東京都)。吐き気、おう吐、腹痛が主な症状で、下痢を伴うこともあります。一般に高い熱は出ません。
食品中の毒素が原因なので、菌が体内で増えるのを待たずに症状が出ることがあります。ただし、時間や熱の有無だけでは原因を診断できません。症状が強いときや水分がとれないときは、自然に治ると決めつけず受診してください。
調理での予防
予防の三原則
この原因での注意点
素手で触れない
- おにぎりはラップで握る:調理前は石けんと流水で手洗い。盛り付けには清潔な箸・トングを使います。
- 手に傷や化膿した部分があるとき:できれば調理をほかの人に任せます。自分で行う場合は傷を覆い、調理用手袋などで食品に直接触れないようにしてください。
- 手袋でも汚れを移さない:顔・髪・鼻や汚れた物に触れたら、手を洗い直して手袋も交換します。手袋は手洗いの代わりになりません。
持ち歩く間も保冷
- 小分けして速やかに冷やす:残す料理は清潔な浅い容器などに分け、室温に長く置かず冷蔵します。菌を増やさないため、保存は10℃以下が目安です。
- お弁当は冷ましてからふたをする:蒸気がこもらないよう、ご飯・おかずを速やかに冷まします。冷ますために長時間放置しないでください。
おかず自体の十分な加熱も必要ですが、それだけでは加熱後の汚染や毒素を防げません。多少の塩分があっても菌は増えるため、塩を付けて握ることも手洗い・保冷の代わりにはなりません。
日常の予防
顔・髪・鼻に触れた後は手を洗い直します。手拭きや調理用の箸・トングは、清潔な物を使ってください。
お弁当は保冷剤と保冷バッグで冷たく保ち、温かい場所や車内に置かず、早めに食べます。保冷バッグだけで安全を保証するものではありません。
持ち運びの用品
手洗いの用品
石けん・ハンドソープと、清潔な個人用タオルまたはペーパータオルを用意します。器具用の洗剤や塩素系漂白剤を、手洗いに使わないでください。
嘔吐物の片付け
原因が分からない嘔吐・下痢にも備えるための手順です。症状だけで原因を決めず、吐いたものや便には素手で触れないでください。
片付けの用品
- 身を守るもの:使い捨て手袋・マスク・エプロン。
- 拭き取り・廃棄用:ペーパータオル、密閉できる袋。
- 物の消毒用:場所・材質に合う消毒用品。
片付けの手順
- 周りの人を離し、換気します。使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用します。
- 乾く前に、ペーパータオルで外側から中心へ静かに拭き取ります。汚れを広げないようにします。
- 汚れを取り除いてから、場所・材質に合う方法で消毒します。
- 使用した物を袋に密閉して廃棄し、手袋を外した後も石けんと流水で手を洗います。十分に換気してください。
塩素系漂白剤は物の消毒用です。手や食品には使いません。薄める量と処理方法は、ノロウイルスを想定した嘔吐物処理の手順・用品で確認してください。感染が判明している場合は、医療機関・保健所の指示に従います。
受診の目安
飲める場合は水分を少しずつ補い、医療機関へ相談します。
- 繰り返し吐いて飲めない、尿が少ない、強い腹痛、血便、ぐったりする場合は受診を急いでください。
- 乳幼児、高齢の人、妊娠中の人、持病や治療で免疫が低下している人は早めに相談します。
意識がはっきりしない、呼びかけに反応しない、息苦しい場合などは119番です。下痢止めなどを自己判断で使わず、医師・薬剤師に確認してください。無理に吐かせないでください。
食べた物と時刻、発症時刻、同じ食事をした人の症状を医師へ伝えます。残った食品・包装・レシートは取っておき、保管方法を保健所へ相談します。原因確認のために食べ直さず、記録や保管のために受診を遅らせないようにしましょう。

