豚肉・レバー・ジビエは、生や加熱不足で食べないことが大切です。E型肝炎ウイルスは肝臓に炎症を起こし、食べてから数週間たって症状が出ることがあります。
白目や皮膚が黄色い、尿が濃い、強いだるさがある場合は、早めに医療機関へ。意識がはっきりしない・呼びかけへの反応がおかしい場合は119番に連絡してください。
原因と症状
豚肉・内臓・ジビエに注意
E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(HEV)による感染症です。国内では、豚の肉やレバー、イノシシ・シカの肉や内臓を、生または加熱不十分な状態で食べたことによる感染が報告されています。新鮮なものや冷凍品でも、生食の安全は保証されません。
海外では、便で汚染された飲み水などが感染源になる地域もあります。国内の食肉由来の感染と、衛生環境が不十分な地域の水由来の流行では、主な感染経路やウイルスの遺伝子型が異なります。
症状は数週間後に出ることも
厚生労働省の案内では、潜伏期間は2〜9週間、平均約6週間です。発熱、食欲不振、吐き気、腹痛、だるさなどに加え、白目や皮膚が黄色くなる黄疸、濃い色の尿が見られることがあります。感染しても症状が出ない人もいます。
多くは回復しますが、まれに重い肝炎になることがあります。妊娠中の人や高齢の人は特に注意が必要です。また、臓器移植後など免疫を抑える治療を受けている人では、感染が慢性化する場合があります。妊娠中の重症化に関する海外流行地の報告を、そのまま国内の食肉由来の感染と同じ割合として考えることはできません。
調理での予防
予防のポイント
- 豚肉・レバー・イノシシ・シカの肉や内臓は、生や半生で食べない。
- 肉や内臓は、中心まで十分に加熱する。
- 生肉用の箸・トング・皿を、食べるときに使い回さない。
- 生肉に触れた手や器具から、加熱後の食品やサラダへ汚れを移さない。
中心温度と時間を確認
厚生労働省は、肉や内臓について中心温度75℃で1分間以上、または同等の条件での加熱を案内しています。「1分」は、肉の中心が75℃に達してから保つ時間です。火にかけ始めてからの時間や、フライパンの温度ではありません。
厚い肉や塊肉は中心が温まりにくいため、食べやすい厚さに切り、加熱むらにも注意します。見た目の色だけで安全を決めず、中心温度計も使って確認しましょう。低温調理では、設定温度にしただけで十分とはいえません。家庭で条件を確かめられない場合は、中心までしっかり火を通す調理を選んでください。
加熱の確認を助ける道具
生肉の汁を広げない
そのまま食べる野菜などは、生肉を扱う前に準備すると汚れを移しにくくなります。生肉に使った包丁・まな板は洗剤でよく洗い、材質に合う方法で加熱・消毒します。手は石けんと流水で洗い、加熱後の肉を生肉が入っていた皿へ戻さないでください。
日常の予防
保存中も肉汁を分ける
生肉は容器や袋に入れ、肉汁がほかの食品に付かないように保存します。表示された保存方法と期限を守りましょう。冷蔵や冷凍を、生で食べられるようにする処理として扱わないことが大切です。
手洗いと安全な水
トイレのあと、調理や食事の前、生肉に触れたあとは、石けんと流水で手を洗います。海外などで飲み水の安全性が確認できない場合は、その水や氷を口にしないようにしましょう。
肝炎が疑われる症状がある場合や診断を受けた場合は、他の人の食事を作ることについて医療機関に相談し、生活上の指示に従ってください。
嘔吐物の片付け
原因が分からないときの対応
E型肝炎では吐き気や嘔吐が起こることがありますが、嘔吐物からの広がり方をノロウイルスと同じと決めつけることはできません。人から人への感染はまれとされています。
原因が分からない嘔吐・下痢があるときは、周囲の人を離し、手袋などで直接触れないように片付けます。詳しい一般的な手順は、ノロウイルスの記事「嘔吐物の片付け」を参照してください。E型肝炎と診断されている場合は、医療機関からの指示を優先します。片付け後は手を洗い、塩素系製品を手指に使わないでください。
受診の目安
黄疸や強いだるさは早めに相談
白目・皮膚が黄色い、尿の色が濃い、強いだるさ、食欲不振、吐き気が続く場合は、早めに医療機関へ相談してください。水分が取れない、嘔吐を繰り返す場合も受診の目安です。意識がはっきりしない場合は、救急要請が必要です。
妊娠中、高齢、肝臓の病気がある、免疫を抑える治療中の人は、気になる症状を早めに相談しましょう。症状だけでE型肝炎かどうかは分からず、診断には血液検査などが必要です。
数週間前の食事も伝える
受診時には、発症した時期と症状に加え、過去2か月ほどの生・加熱不足の豚肉、レバー、ジビエの摂取、海外渡航、服用中の薬やサプリメントを伝えると診断の手がかりになります。肝炎が疑われるときは、市販薬などを自己判断で追加せず、医師・薬剤師に相談してください。

