ジャガイモのソラニン類は、芽や緑色の部分などに多い天然の毒素です。芽とその周囲、緑色の部分を十分に取り除き、加熱だけで安全にしようとしないことが大切です。
食後に吐き気・嘔吐・腹痛などが出たら、速やかに受診を意識の異常・けいれん・息苦しさがあれば119番です。苦味やえぐみを感じた料理は、それ以上食べないでください。
原因と症状
ソラニンやチャコニンによる食中毒
主な原因成分は、α-ソラニンとα-チャコニンです。ジャガイモがもともと持つグリコアルカロイド(糖が結びついた天然成分)の一種で、多く摂ると食中毒を起こします。
芽とその周囲、皮の周辺、光を浴びて緑色になった部分に注意が必要です。傷や長時間の光で毒素が増えることがあり、未熟なイモにも多い場合があります。緑色は葉緑素の色で、毒素そのものの色ではありません。色の濃さだけで毒の量は判断できません。
主な症状と発症までの時間
吐き気・嘔吐・下痢・腹痛、頭痛・めまいなどが起こります。重い場合には意識の異常やけいれん、呼吸困難を起こすこともあります。発症は食後おおよそ30分〜半日が目安ですが、食べた量や個人差によって変わります。
国内では、学校や家庭で育てたジャガイモを、芽・皮・緑色の部分の処理が不十分なまま調理して食べた事例が報告されています。子どもの調理実習では、大人がイモの状態と下処理を確認してください。
調理での予防
芽と周囲、緑色の部分を十分に取り除く
- 調理前に表面を確認し、芽は付け根と周囲の部分も含めて取り除く。
- 緑色の部分は周囲も含め、緑がなくなるまで皮を厚くむく。
- 中心まで緑色になったものや、緑化した部分を十分に取り除けないものは食べない。
皮をむくことは毒素を減らす方法の一つです。長く光に当たったと思われるものも、色の程度にかかわらず厚めに皮をむきます。赤や紫の皮の品種は緑化が分かりにくい場合があります。芽だけを取れば必ず安全、とは考えないでください。
ゆでる・揚げる・電子レンジに頼らない
ソラニンやチャコニンは、ゆでても分解されません。高温の調理でも、ジャガイモに含まれる毒素を確実に減らせるとはいえません。ゆで直す・揚げる・電子レンジで加熱することを、毒を取り除く方法にはしないでください。
苦味やえぐみを感じたら食べるのをやめる
食べたときに苦味やえぐみを感じた料理は、一緒に調理したほかの食材も含めて、それ以上食べないでください。安全を確かめるための味見も避けます。苦くなければ安全、と判断する方法でもありません。
日常の予防
必要な量を買い、光を避けて保存する
購入時は芽が出ているものや緑色の部分があるものを避け、長く置かずに使い切れる量を選びます。丸ごとのイモは、紙袋や段ボールなどで光を遮り、暗く涼しく風通しのよい場所で保存してください。密閉して湿気をためたり、明るい窓辺に置いたりしないようにします。
傷を付けないように扱い、保存中も発芽や緑化を確認します。新じゃがは水分が多く皮が薄いため、長期保存を避け、早めに使ってください。
家庭菜園・学校菜園では未熟な収穫を避ける
十分に育ったものを収穫し、栽培中はイモに光が当たらないよう土寄せをします。収穫後は日陰で表面を乾かし、暗く涼しい場所へ移します。
熟しても小さい品種があるため、小さいイモがすべて危険というわけではありません。一方、家庭や学校で育てた未熟なものには毒素が多い場合があり、外見だけでの判断は難しいため、成熟が不確かなものを無理に食べないでください。
嘔吐物の片付け
ソラニン類の食中毒は、毒素を食べることで起こります。ただし、嘔吐の原因がまだ分からないときは感染症の可能性も考え、素手で触らないようにします。具合の悪い人の受診を優先してください。
- 周囲の人を離し、使い捨て手袋・マスク・エプロンなどで防護する。
- 飛び散らせないようペーパー類で静かに拭き取り、使った物は袋に入れる。
- 片付け後は石けんと流水で手を洗う。
感染症を想定した詳しい消毒方法は、ノロウイルスの記事も確認してください。消毒剤をジャガイモの毒の除去や、体の解毒に使わないでください。
片付け用品を備える
受診の目安
- 呼びかけへの反応がおかしい、意識を失った。
- けいれんしている、息苦しい、呼吸がおかしい。
救急車を呼んだら、ジャガイモを食べたことと症状を伝え、指示に従ってください。
食後の異常は速やかに受診する
ジャガイモを食べた後に吐き気・嘔吐・下痢・腹痛などが出たら、食べるのをやめ、速やかに医療機関へ相談・受診してください。繰り返し吐いて水分が取れない、強い腹痛がある、ぐったりしている場合も早急な受診が必要です。子どもや高齢者では脱水にも注意してください。
自分で無理に吐いたり、自己判断の薬で様子を見続けたりしないでください。意識や飲み込みに異常がある人には、飲食物を与えないでください。
食べた物と状況を伝える
- 食べた時刻・量・調理方法と、症状が出た時刻。
- 芽や緑色の部分の有無、購入先や栽培・保存の状況。
- 一緒に食べた人の症状。
残ったイモや料理は再び食べず、包装・レシート・写真などとともに保管します。保管や提出・処分の方法は医療機関や保健所に確認してください。残りを集めるために受診を遅らせないでください。

