シガテラ毒は、一部の魚に蓄積する自然毒です。焼く・煮る・冷凍するといった家庭の処理では安全にできません。釣った魚やもらった魚は、種類と採れた地域の注意情報を確認し、毒化が知られる魚を自己判断で食べないことが予防の基本です。
魚を食べた後に、しびれや冷たいものを痛く感じる症状が出たら、速やかに受診してください。息苦しさ、意識の異常、失神、急にふらついて立てない場合は119番です。
原因と症状
魚に蓄積する自然毒
主な原因はシガトキシンとその仲間の毒です。海藻などに付着する微細な藻類が作った毒が、魚がほかの生き物を食べる食物連鎖を通じて蓄積します。細菌が食品の中で増える食中毒とは、原因も予防方法も異なります。
国内ではバラフエダイ、イッテンフエダイ、バラハタ、イシガキダイなどが原因になっています。沖縄県で多く発生していますが、九州や本州でも報告があります。魚の外見だけで毒の有無は判断できません。
下痢だけでなく、しびれにも注意
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢のほか、口の周りや手足のしびれ、かゆみ、筋肉や関節の痛みなどが現れます。脈が遅くなる、血圧が下がる場合もあります。
特徴的なのは、冷たいものに触れるとビリビリした痛みを感じる「ドライアイスセンセーション」という温度感覚の異常です。必ず熱さと冷たさが完全に逆転するわけではありません。しびれや痛みなどの神経症状が、数か月以上続くこともあります。
厚生労働省の資料では、食後1~8時間ほどで発症し、ときに2日以上かかる場合もあるとされています。症状や発症までの時間だけで自己診断せず、食べた魚と症状を医療機関へ伝えてください。
調理での予防
加熱・冷凍で毒を消そうとしない
シガテラ毒は一般的な加熱調理では毒性が失われません。煮汁にも毒が移るため、身を取り除いて汁だけ飲むことも避けてください。沖縄県の調査では、長期間冷凍しても毒がなくならないことが確認されています。
疑わしい魚は、刺身だけでなく、焼き魚・煮魚・揚げ物にも使いません。味見で安全を確かめず、新鮮さや「以前食べて平気だった」という経験を判断の根拠にしないでください。
調理前に食べる魚を選ぶ
採れた地域の自治体・保健所が出す注意情報を確認し、シガテラの原因となる魚を食べないことが大切です。種類や採れた場所が分からない魚を、家庭の処理で安全にしようとせず、食用にする前に保健所などへ相談してください。
この画像は魚のイメージです。魚種の判定や、毒の有無の確認には使えません。
日常の予防
釣った魚・もらった魚の情報を確認する
- 釣りや旅行の前に、その地域で食べないよう注意されている魚を確認する。
- 魚をもらうときは、種類・採れた場所を確認する。分からないまま食べない。
- 毒化が知られる魚や安全性が分からない魚を、人に配ったり料理して振る舞ったりしない。
- 店で魚を選ぶときも、自治体の注意・回収情報を確認し、対象の食品は食べない。
冷蔵・冷凍や加熱など、ほかの食中毒を防ぐための管理は必要です。ただし、それをシガテラ毒を取り除く対策とは考えないでください。
嘔吐物の片付け
受診と体調の確認を優先する
具合が悪い人への対応を優先し、家庭で無理に吐かせないでください。吐いた物が気管に入る危険があります。
原因が確定するまでは、感染性の食中毒も区別できません。使い捨て手袋・マスクなどを使い、吐いた物に素手で触れず、周りへ飛び散らせないよう静かに片付けます。作業後は石けんと流水で手を洗ってください。
詳しい処理はノロウイルスの記事の片付け方も参考にしてください。そこで説明する消毒は、食品中のシガテラ毒を取り除く方法ではありません。吐いた物が調査に必要な場合もあるため、保管・提出・処分は保健所へ確認します。
片付け用品を備える
受診の目安
しびれや温度感覚の異常は速やかに相談
魚を食べた後にしびれ、冷たいものを痛く感じる症状、繰り返す嘔吐などがあれば、速やかに医療機関へ相談してください。水分が取れない、症状が続く場合も受診が必要です。乳幼児、高齢者、妊娠中の人、持病がある人などは早めに相談します。
息苦しさ・意識の異常・失神・急にふらついて立てない場合は119番です。突然または持続する激しい腹痛、吐血、血便や黒い便なども、シガテラだと思い込まず救急対応が必要です。
食べた魚と経過を伝える
- 同じ魚や料理を食べるのをやめ、ほかの人にも食べさせない。
- 魚の名前、購入先・採れた場所、食べた時刻と量、症状が始まった時刻を伝える。一緒に食べた人の体調も確認する。
- 無理に吐かせたり、下痢止めなどの薬を自己判断で使ったりしない。
- 意識がおかしい人や飲み込みにくい人には、無理に飲食させない。
- 食べ残し・包装・レシートなどは再び食べないよう区別して保管し、保管方法や提出・処分を保健所へ確認する。
腹痛や下痢が治まってもしびれや痛みが残ることがあります。症状の経過を記録し、医療機関の指示に従ってください。

