巻貝のテトラミン|原因・症状・予防方法

巻貝のテトラミン:動物性自然毒。ツブ貝のイメージと、調理前に唾液腺を取り除くという注意。

この記事には広告が含まれます。

テトラミンは、一部のツブ貝などの唾液腺(だえきせん)に含まれる自然毒です。煮ても焼いても毒はなくならないため、調理前に唾液腺を取り除きます。処理に自信がないときは販売店に頼み、除去済みと確認できるものを選んでください。

貝を食べた後に、めまい・目のちらつき・ふらつきが出たら、速やかに医療機関へ相談してください。息苦しさ、意識の異常、急に立てないほどのふらつきは119番です。

目次

原因と症状

一部の巻貝の唾液腺にある毒

代表的なのは、ヒメエゾボラ、エゾボラモドキなどのエゾボラ類です。「ツブ貝」「バイ貝」という名前は複数の種類に使われるため、売り場の呼び名だけで毒の有無を判断できません。

唾液腺は、唾液を出す器官です。肉の中に左右1対あり、乳白色から淡黄色をしています。内臓を外しただけでは肉の中に残るため、別に確認して取り除く必要があります。

テトラミン中毒は、日本国内でも報告されています。主な産地だけの問題ではなく、流通した貝を食べて各地で発生しています。

めまい・視覚の異常・酔ったような感覚

頭痛、めまい、目のちらつき、見えにくさ、酒に酔ったような感覚、足元のふらつき、眠気、吐き気・嘔吐などが起こります。

厚生労働省は食後30分~1時間ほどでの発症を挙げ、奈良県は30分~2時間と案内しています。多くは数時間で回復しますが、長引く場合や、持病のある人で重くなる可能性もあります。「酒に酔っただけ」「そのうち治る」と自己判断せず、食べた貝を伝えて相談してください。

調理での予防

加熱する前に唾液腺を取り除く

唾液腺の除去が必要な貝は、次の順で処理します。位置や取り方が分からない場合は、自己流で済ませず販売店などに処理を頼んでください。

  1. 殻から身を取り出し、内臓と肉を切り離す。
  2. 貝のフタを下にして肉に切り込みを入れ、開く。
  3. 左右1対の唾液腺を確認し、取り除く。
  4. 取り残しがないか確認し、流水で十分洗ってから調理する。

位置は、神奈川県の写真付き除去手順でも確認できます。水洗いや塩もみだけで、唾液腺の除去に代えることはできません。

ゆでてから取る方法に頼らない

テトラミンは熱に強く、唾液腺を付けたまま加熱すると、毒の一部が身・内臓・煮汁へ移ることがあります。調理後に唾液腺を取ったり、煮汁だけ捨てたりしても安全とはいえません。

唾液腺を付けたまま調理したと分かったら、身も煮汁も食べないでください。冷凍も除去の代わりにはなりません。ゆっくり解凍する間に毒が身などへ移るという報告もあるため、冷凍品は処理状態と表示された調理方法を販売店に確認します。

この処理はテトラミンを含む種類への対策です。フグ毒(テトロドトキシン)など、別の毒を持つ巻貝もあります。種類不明の貝を、唾液腺を取れば食べられると判断しないでください。

日常の予防

買うときに種類と処理状態を確認する

  • 「唾液腺の除去が必要な種類ですか」「除去済みですか」と販売店に確認する。
  • 殻付き・むき身・冷凍品のいずれも、見た目だけで処理済みと決めつけない。
  • もらった貝も種類と処理状態を確認し、分からないものは食べない。

毒の量には種類や個体による差があり、1個分の唾液腺で症状が出ることもあります。「少量なら大丈夫」と考えないでください。

アイキャッチは巻貝のイメージです。貝の種類や、唾液腺の位置を判定するための画像ではありません。

嘔吐物の片付け

嘔吐があるときは、まず本人の安全と受診を優先します。原因が確定するまでは感染性の嘔吐物も想定し、素手で触りません。

  • 使い捨ての手袋・マスク・エプロンなどを着ける。
  • ペーパータオルで飛び散らせずに拭き取り、使った物は袋に密閉する。
  • 片付け後は石けんと流水で手を洗う。

感染性胃腸炎が疑われる場合の消毒は、ノロウイルスの記事の片付け方法を確認してください。消毒薬を食品に使ったり、テトラミンを取り除く目的で使ったりしません。

片付け用品を備える

受診の目安

めまい・ふらつき・目の異常は相談する

貝を食べた後に症状が出たら食べるのをやめ、速やかに医療機関へ相談してください。受診するときは自分で車を運転せず、周囲の人に助けを求めます。症状や発症時刻だけでテトラミン中毒と決めつけないことが大切です。

すぐ119番の目安
  • 息苦しい、呼吸がしづらい。
  • 意識がおかしい、呼びかけへの反応が鈍い。
  • 急に立てないほどふらつく、突然見え方がおかしくなる。

食べた貝と症状を伝え、指令員の指示に従ってください。

食べた貝の情報を残す

  • 貝の名前・購入先・食べた量と時刻。
  • 生か加熱済みか、唾液腺をいつ取り除いたか。
  • 症状が出た時刻と、一緒に食べた人の体調。

残った貝・料理、包装やレシート、写真は捨てず、医療機関や保健所へ相談するときに保管・提出方法を確認してください。ほかの人が誤って食べないよう分けておきます。無理に吐かせたり、自己判断の薬で様子を見続けたりしないでください。

参考資料

資料を開く資料を閉じる
目次