ナスニンは、なすの紫色の皮に含まれる、水に溶けやすい色素成分です。
特徴と働き
特徴
植物がつくる成分「フィトケミカル」の一つで、ポリフェノールの中のアントシアニンという色素の仲間です。英語ではNasuninと書きます。
ビタミンやミネラルとは区別する食品成分です。同じ紫色のなすでも、品種によって皮に含まれる色素の種類や割合は異なります。
主な働きと、分かっていること
取り出したナスニンを使う実験では、脂質などの酸化を抑える性質が調べられています。「酸化」は、ものが酸素などと反応して変わること。「抗酸化作用」は、その反応を抑える働きを指します。
実験での性質と、人がなすを食べたときの効果は分けて考えます。「なすを食べれば、がんや生活習慣病を予防できる」とは、この実験からはいえません。
摂取量と注意
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」には、ナスニン単独の推奨量や耐容上限量(習慣的にとる量の上限)は設定されていません。毎日何mgとる、なすを何本食べる、といった数字には置き換えません。
基準がないことは、いくらでもとってよいという意味ではありません。なすだけに偏らず、いろいろな食品を組み合わせましょう。皮を食べにくい場合は、無理に残す必要はありません。
普通の食事と、成分を濃くしたサプリメント・抽出物は別です。食品の研究結果を、そのまま濃縮製品の効果や安全性へ当てはめません。
含まれる食品
紫色の皮をもつなす
なすの皮に含まれます。皮をむく料理では、皮にある成分も取り除かれます。品種・栽培条件・調理によって変わるため、すべてのなすに共通する含有量は示しません。
選び方や保存方法は、なすの食材記事で確認できます。
特徴を生かす調理のポイント
皮を使い、水さらしは必要なときだけ短く
皮ごと使える料理では、流水で洗い、へたを取って切ります。ナスニンは水へ溶け出すため、変色やえぐみを抑える水さらしは、必要な場合だけ短時間にします。切ったらすぐ調理する方法もあります。
煮汁への色移りと、色の残り方を分けて考える
煮ると、皮の色素が汁や果肉へ移ることがあります。色が抜けたからといって、成分がすべて消えたとは限りません。汁物なら煮汁も料理の一部として味わえますが、成分のために塩分の多い汁を無理に飲み切る必要はありません。
紫色がどれだけ残ったかだけで、ナスニンの量や健康への効果は判断できません。成分を残そうとして加熱を不十分にせず、料理に合うやわらかさまで火を通します。
少量の油を使う塩蒸し焼き、電子レンジで作るしょうが蒸し、汁も味わうみそ汁から、作りたい一品を選べます。
よくある質問
ブルーベリーの色素もナスニンですか?
アントシアニンは、いろいろな色素を含むグループ名です。ナスニンはその一つで、紫色の食品の色素がすべてナスニンというわけではありません。
果肉の茶色い変色もナスニンですか?
紫色の皮の色素と、切った果肉が茶色くなる変化は別です。果肉の褐変には、クロロゲン酸などの成分と酵素が関わります。変色の原因をすべてナスニンとは呼びません。
参考にした資料
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- 農研機構:ナスとその近縁野生種に新たに見出された3種のアントシアニン(色素の種類・実験による評価)
- Nodaら(2000):Antioxidant activity of nasunin, an anthocyanin in eggplant peels(実験研究・PubMed抄録)
- 厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版)
- 農畜産業振興機構:四季の野菜と健康(なすの水さらし・色素)
- 橋本ら(2013):ナス果菜外果皮からのナスニンを含む天然色素素材の調製(皮からの抽出・安定性)
- コープこうべ商品検査センター:なすを煮たら、果肉部分が紫色になった(調査例)
- 農畜産業振興機構:なす(2012年9月、色素と果肉の褐変)

