食物繊維は、人の消化酵素では消化されにくい食品成分です。水溶性と不溶性の2種類に大きく分かれ、普段の野菜や果物には両方が含まれています。
特徴と働き
特徴
炭水化物の一部で、糖質とは区別して考えます。小腸で消化されずに大腸へ届く成分を含みます。
水溶性は水に溶けるもの、不溶性は水に溶けにくいものです。「溶ける・溶けにくい」は分類の一つです。粘りの強さや、腸内細菌に利用されやすいかどうかも、成分によって異なります。
主な働きと、分かっていること
便のかさや状態、腸内細菌の活動などに関わります。粘りのある一部の成分は、食後の糖の吸収などにも関係しますが、どの食物繊維でも同じ働きをするわけではありません。
「水溶性なら必ず便をやわらかくする」「不溶性なら必ず便秘が改善する」とは言い切れません。分離した成分やサプリメントの研究結果を、野菜一皿の効果にそのまま置き換えません。
摂取量と注意
食事摂取基準の目標量は、食物繊維全体について年齢・性別ごとに定められています。水溶性と不溶性を、誰でも一定の比率にそろえる必要はありません。
急に量を増やすと、お腹が張ることがあります。主食・豆類・野菜・果物などを組み合わせ、普段の食事から少しずつ。食事制限の指示がある方は、その指示を優先してください。
含まれる食品
以下は、生の可食部100g当たりの値です。同じ食品にも両方が含まれ、含まれる割合が異なります。
| 食品 | 水溶性(g) | 不溶性(g) | 合計(g) |
|---|---|---|---|
| ごぼう | 2.3 | 3.4 | 5.7 |
| にんじん(皮つき) | 0.7 | 2.1 | 2.8 |
| なす | 0.3 | 1.9 | 2.2 |
| いちご | 0.5 | 0.9 | 1.4 |
| バナナ | 0.1 | 1.0 | 1.1 |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。各食品は生、にんじんは皮つき。上記はプロスキー変法による値で、別の測定法による値と混ぜて比較しません。調理後やレシピ1人分の数値ではありません。
特徴を生かす調理のポイント
主食と副菜の両方から
野菜だけで増やそうとせず、豆類や穀類も組み合わせます。果物は、果肉を除いたジュースだけに置き換えず、食べられる部分を味わいましょう。
食べやすい加熱で続ける
硬い野菜は薄く切り、蒸す・煮るなどで食べやすくします。「生で大量に食べる」ことを目標にしなくて大丈夫です。
なすのみそ汁やにんじんのオリーブオイルサラダなど、作りやすい料理から選べます。各レシピの食材量は、生100gの表とは別です。
よくある質問
食材やレシピの「食物繊維」は、どちらの種類ですか?
種類を指定していない「食物繊維」は、基本的に全体を指します。にんじん・ごぼう・なす・いちご・バナナには、水溶性と不溶性の両方が含まれます。
理想の比率は水溶性1:不溶性2ですか?
すべての人に当てはまる比率として、ここでは勧めません。まずは食品を偏らせず、食物繊維全体と食事のバランスを考えます。
参考にした資料
資料を開く
- 厚生労働省:食物繊維
- 厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版)
- Guanら(2021):Dietary Fiber: An Important Regulator of Gut Microbiota(成分の分類と性質の総説)
- McRorie・McKeown(2017):Understanding the Physics of Functional Fibers…(分離した食物繊維の性質と働きの総説)
- 厚生労働省:食物繊維の必要性と健康
- 文部科学省 食品成分データベース:ごぼう(生)
- 文部科学省 食品成分データベース:にんじん(皮つき)(生)
- 文部科学省 食品成分データベース:なす(生)
- 文部科学省 食品成分データベース:いちご(生)
- 文部科学省 食品成分データベース:バナナ(生)

